明け方ごろの読書日記

ほぼ読んだ本の備忘録にしています。たまに映画や身辺雑記的ことも書いています。2014年2月から3月までの記事は、2009年頃から2014年3月までに読んだ本を時系列無視で一気にアップしたものです。

『本の読み方 スロー・リーディングの実践 (PHP新書) 』平野 啓一郎著

本の読み方 スロー・リーディングの実践 (PHP新書)

本の読み方 スロー・リーディングの実践 (PHP新書)

速読に対して、遅読すなわちスローリーディングを提唱する筆者の読書論。
 なんか速読に偏見が少し感じられたけど、速読術は自己啓発だっていう指摘があったのには、深くうなずいてしまった。平野さんの本は初めて手に取ったけど、面白い本だった。
 内容はゆっくりと読書をすることで、本の内容を深く感じ取ろうという主張で、まぁご意見は御もっともでございますって思いながら読んだ。小説家による読書論ということのせいか、小説を味わうためという部分に重心が傾いている読書論という印象を持った。しかし著者が小説家としての視点で、もっと深く楽しむために小説の仕掛けを教えてくれていたので、なかなか興味深く読ませてもらった。
 
 取り上げられているテクストの内、小説は漱石、鴎外、カフカなど充実しているのに対して、評論がフーコーだけというのはあまりに少ないし、がっかりだった。もっと多くの評論の読み方を教えてもらいたかったところだし、評論の読み方もなんていうか学習参考書的で、あまり目新しさを感じなかった。
 あと、読書はコミュニケーションの準備であり、読み終わった時にこそ始まるという言葉に一番感銘を受けた。最近は読むために読むという読書の姿勢だったので、反省しなければならないかな。もっと読書は楽しんでしたいもんだ。