『打ちのめされるようなすごい本 』米原 万里著
- 作者: 米原万里
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/10
- メディア: 単行本
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政治的信条とかは好き嫌いが別れる人もあるかもしれないけど、博覧強記の彼女の読書エッセイはポジティブで大変読み応えがありました。
しかし、自身が癌に侵されていると知ってからは雰囲気が徐々に暗転していきます。
怪しげな民間療法に大金をつぎ込んだり、効果が定かではない治療法に頼ったりする著者の姿を見ると、あんなに闊達で批判的な精神を持ち優れた知性を持っている彼女にしても、弱った人間につけ込むような連中の誘惑にあがらう事ができないのだと暗澹とした気分になってしまう。
絶望の中でも有効な癌の治療法を探しつつ、病魔のため唐突に途切れてしまうエッセイに少し背筋がゾクっとした。