明け方ごろの読書日記

ほぼ読んだ本の備忘録にしています。たまに映画や身辺雑記的ことも書いています。2014年2月から3月までの記事は、2009年頃から2014年3月までに読んだ本を時系列無視で一気にアップしたものです。

『出撃!魔女飛行隊 (学研M文庫)』 ブルース・マイルズ著

出撃!魔女飛行隊 (学研M文庫)

出撃!魔女飛行隊 (学研M文庫)

祖国は悪の独裁者に侵略されつつあった。
伝説の女性パイロットの呼掛けに応じた少女達は、戦闘機に乗り戦うことを決意する。
だがそれは地獄のような戦場で命を賭けた戦いをすることを意味した。

と書くと、萌え系ゲームの設定みたいだけど、本当にあった実話。軍事マニアに長く語り継がれていた幻の名著だったけど、めでたく復活。面白すぎて3時間ぐらいで読了でした。

パイロットの小柄な女の子が戦闘機のペダルまで足が届かないから下駄を履かせたりする。エピソードなど、苛烈な日常の中にも微笑ましい日常描写もあって実に面白いです。

ソ連軍っていうと歩兵が死にまくる悲惨なイメージがあったんですけど、専門的な技術や知識が必要な空軍の戦闘機部隊の話だけあって、そういった印象を受けることは少なかったです。
戦場の話なので撃墜されたパイロットが悪名高いドイツの収容所に入れられて辛酸を舐めたり相棒や片思いの人間が戦死したり、悲しいエピソードはありましたけど(汗)

本書を読んで知ったんですけど、やっぱりソ連でも女パイロットに対する蔑視というか下に見る風潮はあったんですね。こんなところにしゃしゃり出てくるなっていう感じで。
当時としては驚くほど女性の進出が目立ったソ連軍なのに、そういった気風というか精神的風土があったことにちょっと驚きでした。

女性パイロットや女性整備員は女性だけでまとめて部隊を編成されていた(つまりほぼ女性しかいない部隊)んですが、働きが認められて部隊の名前の頭に「親衛隊」を付けてもらえる栄誉に浴することになったんですけど、その時のシーンは読んでいて胸が熱くなりました。
今だドイツ占領下にある地域に夫や子供がいる司令官や男に負けないように懸命に戦った事を認めてもらえたパイロットや後方支援員達・・・。
万感の思いをこめて新しい隊旗にキスをしていく彼女達を思うと泣けてきます。

読んで損は無い本書ではありますが、唯一つ欠点をあげつらうとすればソ連のプロパガンダ臭が微かにしたところがあった点でしょうか。普通に読んでいれば気にならないと思うんですけどね。

あと、女性だらけの部隊という女子高的なノリだったみたいですけど、百合な展開は無かったと明記してありました(笑)。