明け方ごろの読書日記

ほぼ読んだ本の備忘録にしています。たまに映画や身辺雑記的ことも書いています。2014年2月から3月までの記事は、2009年頃から2014年3月までに読んだ本を時系列無視で一気にアップしたものです。

『ローマ亡き後の地中海世界(上)』 塩野七生著

ローマ亡き後の地中海世界(上)

ローマ亡き後の地中海世界(上)

 『ローマ人の物語』シリーズの後日談にあたる本書。『ローマ人の物語』は読み終わったので、手に取ってみました。
 いやもう海賊の話ですか?っていうぐらい海賊の猛威がでてきます。勃興するイスラム勢力にいいようにやられるキリスト教諸国が哀れすぎます。

 特にイスラム勢力のサラセン人の海賊行為は徹底していて、襲撃できるところは片っ端から、襲撃して略奪をしていきます。財宝はもちろんですが、人間も略奪して奴隷として売られていきます。

 これを何とかしようとローマ法王も色々な王国に働きかけるんですが、どの王国も内紛状態でろくに対応できない状態やっとこさ樹立した神聖ローマ帝国シャルルマーニュの死去後にすぐ崩壊する始末です。

 イスラム圏と取引のあるイタリア商人の情報から、徐々に奴隷にされたキリスト教徒が悲惨な状態になっているかが伝わっていき十字軍が編成されたりしまが、奴隷の解放を目的にしていたのは一回目だけで、あとは聖地解放を目指したりともうグダグダになって行きます。

 あまりのキリスト教徒の拉致の多さと、拉致された後の悲惨な状況に修道士系と騎士団系の救出組織が生まれ、多大な困難を乗り越えて少しづつ救出していくことになります。
救出された人は一説には100万人に達するというから、この当時の海賊被害の猛威が分かります。

 これらの組織は500年以上存続しているものもあり、海賊の脅威は長く中世を支配していたんだなぁっと思いました。結局フランスがアルジェリアを植民地にするまでの1830年まで地中海には海賊は出没し続けたそうです 。