明け方ごろの読書日記

ほぼ読んだ本の備忘録にしています。たまに映画や身辺雑記的ことも書いています。2014年2月から3月までの記事は、2009年頃から2014年3月までに読んだ本を時系列無視で一気にアップしたものです。

『たかじんのそこまで言って委員会 超・国防論(2枚組) [DVD]』

たかじんのそこまで言って委員会 超・国防論(2枚組) [DVD]

たかじんのそこまで言って委員会 超・国防論(2枚組) [DVD]

レンタル屋に行って、たまにはいつもは借りないものでも借りてみるかということでこのDVDをチョイス。あまり期待しないまま視聴してみると、めちゃめちゃ面白くって何度も見直した。番組『たかじんのそこまで言って委員会』は時間的な関係で編集されているけど、このDVDはほぼノーカット版。昔から『たかじんのそこまで言って委員会』のファンでよく見ていたけど、最近はなんかマンネリに感じてきたというか、議論が深まらないまま他のテーマに議論が進んでしまったりということが多くて物足りなさを感じていた。
 この『たかじんのそこまで言って委員会 超・国防論』ではほぼノーカット版というフレコミにふさわしく、現時点での議論できるところまで議論しているので、論客達の分かり合えない線とそうでない線を確認できる。最近の『たかじんのそこまで言って委員会』には予定調和的な議論で90分が費やされることもままあって、見ていてもあまり勉強にならないことがあるんだけど、このDVDは非常に密度の高い議論が展開されていて、非常に勉強になった。

 amazonより内容紹介

「国防スペシャル」 ~自衛隊違憲の軍隊か!?~
政府見解と異なる歴史認識の論文を発表し航空幕僚長の職を解かれた田母神俊雄氏。解任後初のメディア出演ということでその発言は大いに注目を浴びた。田母神氏が、持論でもある「自虐史観からの脱却」を声高に訴える中、話題は日本の国防・軍事問題へと展開。更には陸・海の要職経験者もスタジオに登場、議論は「自衛隊の存在意義」そのものにまで及んだ。

「沖縄集団自決問題」~自虐史観か?史実か?~
終戦直前、沖縄各地で起こった集団自決。多くの民間人が命を落とすに至ったこの痛ましい出来事に日本軍の関与(強制)はあったのか?日本人の間でも大きな認識のズレがある中、各々のイデオロギー歴史観の問題も相まって議論はより複雑化していく。はたしてこの問題、歴史教科書にはどのように表記すべきなのか?

「いまこそ国益を問え!」~主張なきニッポン外交を憂う~
今回のゲストは「異形の大国 中国」の著者、ジャーナリストの櫻井よしこ氏。国益とは何なのか?またそれを守るには何が必要なのか?国際社会において無視することのできない大国「中国」の存在を引き合いに出しつつ、日本の外交姿勢がどうあるべきかを訴える。そして彼女がいますべての日本人に伝えたいこととは…

 
〇「国防スペシャル」 ~自衛隊違憲の軍隊か!?~ 
 田母神俊雄さんが航空幕僚長解任後で初TV出演ということで、まずそのことにビックリ。放送時はそんな時代だったんだ・・・。僕はいわゆる田母神論文の発表はしなかった方が良かったと思っていて、『たかじんのそこまで言って委員会』でこれまで彼が発言していても基本的にあまり身を入れて聞いてこなかった。
 このDVDで初めてちゃんと彼の話を聞いたら、これが面白くて笑った。なんていうかなぁ、田母神さんって実はいい上司だったんじゃね?って思えてきた(笑)
 でも制服組のトップになるのはちょっと・・・っていうのが率直なところ。軍のトップにあの人がなるのは人格的なことは置いておいて、なっちゃいけない人なのでは?と正直なところ思った。

 内容自体も非常に面白く、「国防」というテーマをここまでの深度で議論できるTV番組があるのは本当に嬉しく思った。
 しかし、いわゆる左翼陣営の人との国防論、つまり幻想の中でしか成立しない非武装中立を今だ夢見る新社会党原和美さんの言うことを聞いていると、言葉は悪いけど化石化した進歩的文化人をみているような気になった。なんだかなぁ、中江兆民の『三酔人経綸問』の登場人物である洋学紳士君の所論からほとんど進んで無いじゃん、って感じた。ちなみにこの本が出たのは140年程前です(笑)
 
 天木直人さん、今までノーマークだったこの人。意外とクセモノだった。ちょくちょく議論進行を妨害しているようにさえ感じた。特に原さんに勝谷さんが「他国からゲリラが攻めてきたらどうする?」って質問した時に「彼女は新社会党の立場があるから」とか「それは意地悪な質問だ」とか意味不明な半畳を入れてきて、正直イライラしてきた。辛坊さんが別の質問をして、この質問は是非とも原さんに答えてもらいたいと言っているにもかかわらず、原さんが答える前に天木さん自身の主張を繰り返し繰り返し言ってウヤムヤにするあたりは、こんな人が外交官だったの?って思うような人だった。

 ゲストで陸海空の退役自衛官(元空自の田母神さん含む)が来ていて、いろいろな話が聞けて面白かった。特に興味深かったのは阪神大震災当時、伊丹の連隊長だった松島悠佐さんの話とニュークリア・シェアリング・システムの話。
 災害対策の合同訓練に参加しようとすると、「自衛隊がこんなところに何の用だ」とさんかさせてもらえなかったらしい。その後の大惨事を思えば、自身の偏狭なイデオロギーの為に発生した自衛隊災害派遣要請の遅れとともに、貝塚元兵庫県知事は永劫に糾弾されてしかるべきだろう。自衛隊のまとまったマンパワーの投入があれば、より多くの人命が救えたのは間違いない。ただせめてもの慰めというか、この件をもって自衛隊災害派遣の体制が整い3.11で自衛隊の迅速な人命救命が出来たのは救いだと思った。
 ニュークリア・シェアリング・システムは不勉強ながら全く知らなかった(汗)。批判(核兵器シェアリングという幻想)も勿論あるが面白い話だった。

〇「沖縄集団自決問題」~自虐史観か?史実か?~
 ゲストに琉球大学名誉教授の高嶋伸欣さん、大江・岩波沖縄戦裁判支援連絡会事務局長の小牧薫さん、元海上自衛官で今はジャーナリストの恵隆之介さん(いづれも肩書きは当時のもの)が登場。

 冒頭、いきなりジャーナリストの恵さんが田嶋さんのことを「おばさん」と呼んだことで、無理もないけど田嶋さんが激怒。MCの辛坊さんも唖然とした一幕があった。残念ながら全体を通して恵さんの言っていることは低レベルなことが多かった。小牧さんが関係者の名前を口に出したら、恵さんは「〇〇って~」とその関係者を呼び捨てにし、しかも人違いをしていることを何度も小牧さんに訂正される始末・・・。さすがに会場には失笑が漏れていた(苦笑)。
 
 「おばさん」と言われたからか、この回の田嶋さんは猛り狂っていた。田嶋節炸裂っていう感じだった。いやぁホントこれだけでも大いに見物だった。やっぱりこの番組には田嶋さんは必要不可欠だね。彼女のいない委員会なんて見る気が起きないよ。最近 金慶珠さんっていうポスト田嶋さんな方が出てきて嬉しいけど、田嶋さんの貫禄にはまだまだ及ばないな。
 あと、田嶋さんは軍のいない島では住民の集団死はなかったって、軍が住民に集団死を命じたということを暗に仄めかしていたけど、集団死する道具を使える環境にあるかないかが要因なんじゃ?って思った。

 意外なことに勝谷さんが実にニュートラルというか、真っ当なことを言っていて驚いた(失礼!)。やっぱり普段の委員会の彼はバカな振りしているなぁ~って思った(笑)。
 
 全体として軍が住民の虐殺を命じたとは考えられない。しかし、凄惨な沖縄戦の中での極限状況の中で現地の軍人が死を命じたとして、それを否定する確たる材料もないというのが、この回を見て僕が感じた感想だった。
 でもまぁ、小牧薫さんなんかは「軍は住民の虐殺をし、殺しあうことも命令した」と教科書に書けというのは、なんていうか色んな段階で無理がある。っつうか、こんな人に限って「自分はイデオロギーに毒されている訳では無く、ただ事実を知りたいだけだ」と主張するのが世の中の面白いところかな(笑)
 それともう一つ意外なことに高嶋伸欣さんの意見が割と受け入れられる部分があったということ。なんか自分でもビックリ。

 あと、大江健三郎さんは本っっっ当にヘタレだと思った。判決が出る時ぐらいせめて国内にいろよな。最終的に大江さんの勝訴ということになったことを考えれば、滑稽だわ・・・。

ネットで沖縄ノートを検索していると、下記の記事を発見
沖縄ノート」勝訴になぜ誰も注目しないのか
中国が沖縄に擦り寄ってきててワロタ

〇「いまこそ国益を問え!」~主張なきニッポン外交を憂う~
 保守派論客の絶対的ヒロイン櫻井よしこさん登場の回。いやぁ、色っぽい人でした(笑)。憲法に関すること以外はほぼ同意できるかな?。密度の高いこのDVDの中でホンワリできる時間だった。

 全体を通してMC役の辛坊さん空気すぎ(苦笑)。こんな人じゃないと思ってたのになぁ・・・。個性的な論客やゲストばかりというのは良くわかるけど、もう少し討論を捌いてくれればより深い議論が見れて面白くなっていたのに・・・。
 90分の討論の中でお互いの意見が通じ合い、どちらかの意見を受け入れるような瞬間を見てみたいという趣旨のことを辛坊さんはこのDVDの中でおっしゃっていたけど、このDVDを見ているとそれはちょっと難しいのでは?って感じた。