明け方ごろの読書日記

ほぼ読んだ本の備忘録にしています。たまに映画や身辺雑記的ことも書いています。2014年2月から3月までの記事は、2009年頃から2014年3月までに読んだ本を時系列無視で一気にアップしたものです。

『十二世紀ルネサンス―修道士、学者、そしてヨーロッパ精神の形成』 デイヴィッド ラスカム著

十二世紀ルネサンス―修道士、学者、そしてヨーロッパ精神の形成

十二世紀ルネサンス―修道士、学者、そしてヨーロッパ精神の形成

間違えた!!
本当は『十二世紀ルネサンス伊東俊太郎著の方を読むつもりだったのに・・・(苦笑)。

 日本の各大学で行った講演の原稿を基にまとめたものであるらしい(1章と結論を除く)。
 ルネサンスっていうと が有名で12世紀に発生したルネサンスってなんだろう?って思いながら読んでいたんだけど、要求される予備知識が半端なかったのでビビッた。こんなの講演で話したところで一体何人が理解できるんだろうかっていうぐらいの高度な西欧史の知識が要求されている。いや、もちろん理解できる人はいるんだろうけど、やっぱり偏差値の高い大学って凄いわ。
 こっちは本書の半分を占める詳細な約註があってもよく分からんかったわ・・・。
 
 訳者の解説をもとに本書をまとめると、1章で「12世紀ルネサンス」と一般に呼ばれる知的復興運動に関する問題と最近の動向が紹介され、2章でその運動を推進した学者や学校について、13世紀に開花するスコラ学の基礎(スコラ学的方法)がそのような学者や学校によって(複雑な過程を経て)以下に確立されたのかを論じている。3,4,5章でスコラ学の基礎を確立する上で、最も重要な貢献をなした学者の内、アンセルムとエロイーズとの恋で有名なアベラールの2人についての専門的な議論がなされている。
 12世紀の知的復興運動の中で確立されたスコラ学的方法によって、またそれを支えた制度が発展する中で、やがて13世紀にスコラ学が集大成され、近代に至るまで、ヨーロッパの深層を規定する知的伝統・社会規範の基礎が確立されることになる。
 6章の主題、12世紀に大きな変革を遂げた結婚の理念や制度はまさにそのような伝統の一つといえる。

 正直、12世紀ルネサンスは14世紀から始まったルネサンスの下地を作ったよ。あと、中世西ヨーロッパって思ってるほど暗黒の時代じゃないよ。って言うぐらいしか分からなかった(笑)。特に3~5章までのアンセルムとアベラールを巡る議論はこれっぽっちも理解できなかった(笑)。

 あと読んでいて分かった小ネタ2つ
・西ヨーロッパでの神判、つまり熱湯に手を入れて火傷をしなければ無罪とか、手足を縛って水の中に投げ入れられて、そのまま沈んでいれば無罪とかいうアレは中世初期からあったとの事。
 しかし、1215年の第四ラテラノ公会議によって「神を試すもの」として禁止された・・・とあるけど、魔女裁判とかはどうなんだろうか?

ユスティニアヌス1世(大帝)の『ローマ法大全』は603年から、1076年まで西ヨーロッパではほとんど完全に忘れられていた。しかし、ローマの法学者の学説を集めた『学説彙纂』が1076年北イタリアでの法廷で使用された記録が出現した後は、ボローニャなどを中心にローマ法が復活した。

 あと、訳語にラテン語のルビが振ってあるので、読んでいると厨二心が刺激されて面白かった。
例えば
・年若い修道士達 オムニブス・プッリース・スイース
・異国の卑しい者どもの間で インテル・イーグノートース・アリエーニグナース
・我が災厄の記 ヒルトリア・カラミタートゥム
・理解を求める信仰 フィデース・クアエレンス・インテレクトゥム
・根拠によって証明されるべき信仰 ラティオーニブス・フィデース・アストルエン
・われわれの最も新しい時代 ノウィッシミス・テンポーリブス・ノストリス
ラノベで使われていても違和感ないな(笑)