『吉本隆明という「共同幻想」 』呉 智英著
久々に彼の長編の評論本を読めた。
呉智英氏の近年の著作は言葉についての本などが多くて、少し疎遠になっていた。そんな中での新刊。しかも主題は今年逝去された吉本隆明氏。はい、即買いでした。
批評の前に、吉本隆明氏の難解とされる著作を分かりやすく解説しているので確かに彼の著作を読んでいなくても楽しめる。
この解説自体が吉本氏に対する批評になっていて、彼の難渋な文章を分かりやすく日本語に翻訳(!)すると、吉本氏の考えがかなりクリアに理解できるようになった。ただ、このクリアに理解できてしまうことで、なんというか吉本氏の考えの底の浅さ問題点もまた、よりクリアに浮き彫りにされてしまうという結果になってしまっている。この辺りはまさに呉智英氏の老獪さというか真骨頂とも言うべきか(笑)。
結局、吉本隆明氏っていうのは昔一世を風靡したアイドルみたいな人だったのかな?っていうのが、本書を読み終わった後の僕の感想だった。
実に面白かった。なので呉智英先生、次の新刊本を早く書いてください。