明け方ごろの読書日記

ほぼ読んだ本の備忘録にしています。たまに映画や身辺雑記的ことも書いています。2014年2月から3月までの記事は、2009年頃から2014年3月までに読んだ本を時系列無視で一気にアップしたものです。

『セメント樽の中の手紙』葉山 嘉樹著

セメント樽の中の手紙 (角川文庫)

セメント樽の中の手紙 (角川文庫)

十代の頃だったか筒井康隆さんの『文学部 唯野教授』を読んでいると、小林多喜二の『蟹工船』の話が出てきて、そんな小説読んでいないと言った学生がたしなめられるというシーンがあった。当時の僕もこの学生と同じく、今時プロレタリアてwなんて軽く馬鹿にしてた。
 それから十数年後・・・
 まさかプロレタリア小説に共感する時が来るとは思わんかった(苦笑)。表題作「セメント樽の中の手紙」を含め収録されている作品はみんな短編(表題作に至っては、ほんの数十ページ)だけど、これは真のプロレタリアには読書をする時間を多く取ることができないからという配慮かららしい。
ブラック企業とか社畜なんていう言葉が多く聞かれる今だからこそ、こういったプロレタリア小説を読んでみるのも良いのかもしれない。
 表題作以外にも病気になった船員が「勝手に」死体置き場のような船底の空間に落ちていく「労働者の居ない船」や、末期の病魔に冒された女性を売春させる男達と主人公との奇妙な結末を描いた「淫売婦」とかは本当に背筋がゾッとした。これは大昔の話なんだろうか?
 
少し調べてみたら表題作「セメント樽の中の手紙」は青空文庫で公開されていた。↓
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person31.html#sakuhin_list_1

あと、youtubeで朗読している動画を発見。10分ぐらい。ピアノの音がもっと小さかったらよかったのに・・・
http://www.youtube.com/watch?v=4Qit2Sbm9_E