『コンゴ傭兵作戦』 片山正人著
- 作者: 片山正人
- 出版社/メーカー: 朝日ソノラマ
- 発売日: 1990/04
- メディア: 文庫
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あと、ベルギーがコンゴで発生した独立の気運にビビッて、慌てて独立させたせいでとんでもないことになったとしか思えないコンゴ動乱の顛末を知ることのできる本としても読むことが出来る。
でも、ちょっと不親切な本かな?。大多数の日本人になじみのない独立直後のコンゴの話なのでもっと丁寧に状況説明をして欲しかった。
一人の傭兵がオファーを受けて、人集め、訓練、実戦、支払う給料の交渉や任務達成後の解散までをどのように行ったかを『ワイルド・ギース』のフォークナー大佐役のモデルとなったトーマス・マイケル・ホアーを中心にして描いている。新しく編成された傭兵部隊の立ち上げ時の色々な苦労とか、細かな運用の話とかが臨場感たっぷりに書いてあって、本当に面白かった。
WW2が終わってから20年ぐらいしか経ってないからか、傭兵募集に応じた連中の経歴が多彩すぎるのも面白い。大部分は現地調達されたコンゴ人だけど、軍の背骨となる下士官や頭脳となる士官にはヨーロッパ人が多く占めていて、なかには元コールド・ストリーム・ガーズやら元SASやら鉄十字記章をもった元ドイツ国防軍の軍曹とかいたりなんかして笑わせてもらった。
以下、色々と興味深かった点
・中国がシンバを援助していた件。自国も発展途上国だったのにこんな時期からアフリカに勢力を伸ばしてたんだと思うと、恐ろしいやら呆れるやら・・・
・シンバに捕まった白人達の待遇。男はボコられて、女性は・・・というケース多すぎてゲンナリ。というか、宣教師多いなって思った。
・呪術師のおまじないを受けていれば敵から撃たれても(≧∇≦)b OKだ!!
いや絶対ウソだし(笑)っていうかウソだったし(汗)。カーゴカルトとかが生まれるのがよく分かったわ(苦笑)
・「ムレレ主義革命」とか書いてあるのを見て、関係ないけど筒井康隆さんを連想。いやネーミングセンスが筒井さんみたいだなって思い始めてから「ムレレ主義革命」って単語が出てくるたびにニヤニヤしてしまった。
・傭兵部隊なのに航空部隊なんかも持つことができたのが驚きだった。しかもその部隊のB-26のパイロットはビッグス湾作戦に参加していたキューバ人パイロットだということにさらにビックリ。CIAも無茶するなぁ・・・。キューバ人パイロットもまさか地球の裏側で爆撃機を操縦するなんて思いもしなかったろうな。
・この本を読んでいるとゲーム『far cry 2』で表現されていた、気だるいような熱気のアフリカの大地を思いだした。ゲーム自体はつまらなくて序盤で放り出したけど、あの自然描写はなかなかのものだった。またやってみようかな。
コンゴ動乱についてはここのまとめが分かりやすい
コンゴ動乱① ベルギー人客室乗務員暴行事件
コンゴ動乱② スタンレービル白人人質事件と白人虐殺(第2次コンゴ動乱)