『可能世界の哲学―「存在」と「自己」を考える (NHKブックス) 』三浦 俊彦著
可能世界の哲学―「存在」と「自己」を考える (NHKブックス)
- 作者: 三浦俊彦
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 1997/02
- メディア: 単行本
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解説書ではあるけど、結構細かな議論(著者によるとこれでも随分簡略化したらしい)があって、読むのに手こずった。類書をアマゾンで探してみたが、ここまで可能世界をとりあつかっている本はないみたい。
可能世界という理論的な装置を使って考えれば、古来から議論されていた命題がかなりクリアに解決できるようになり、例えば
1、Pであるならば、必然的に、Pは可能である。
2、Pが可能であることが可能ならば、Pは可能である
3、Pが可能であるならば、必然的に、Pは可能である。
などのそれまで真であるか偽であるか、それともこの命題群はそもそも意味がある命題なのかどうかという問題に対しても明快に、これらの命題の意味しているところを理解出来るようになったりできる、色々と使い勝手の良い概念らしい。
ただ、方法論的に可能世界を導入する立場から、そもそも可能世界は実在するという立場(当たり前だけど、本気で主張している人は世界でも数人ぐらいらしい)の解説にはちょっと付いていけなかった。
前半は複雑な問題をクリアにしていく様子を楽しめたが、後半はクリアにしていく手法そのものがはらむ問題を解説していて細かい議論が展開されていくのでちょっと退屈だった。