『諜報の技術 (1965年)』 アレン・ダレス著
- 作者: アレン・ダレス,鹿島守之助
- 出版社/メーカー: 鹿島研究所出版会
- 発売日: 1965
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全体的にソ連を中心とした共産主義国の冷静な分析と自国の諜報能力の限界など公平な記述が全編にわたって続いているけど、正直なところ脅威をやたら煽るでもなく、自国の諜報能力を過信するでもなく冷静で落ち着いた内容だった。
っていうか、この本ってダレス自身が書いたのかなぁ?
おそらくCIAの執筆グループがゴーストライターとして書いたんじゃなかろうか?
本書自体がCIAの諜報戦略と予算獲得の手段の一端を担わされていたに違いない。そういう下心を感じつつ読んでみると、なかなか面白かった。情報機関の長がこのような本を執筆するのはあまり聞いたことが無いので、貴重な本だと思う。
本書p253に良い情報官の資質としてどのようなものが要求されているのか列挙してあったので、抜粋してみる。
人間を見る目があること
困難な条件の中で他人と協力して働くことができること
事実と虚構を見分けることを学ぶこと
大切なことと大切でないことを区別できること
探究心を持つこと
大きな工夫力を持つこと
微細なことにも適当な注意を払うこと
考えを明晰に、簡潔に、そして大切なことは、面白く、表現できること
沈黙すべき時は口を閉ざすこと
・・・良い情報官以外にも要求される条件だな、これは(苦笑)
内容的には特に驚くようなことは書いていなかった。この本の主張はラストのページに書いてあることに集約されていると思う。
今日、絶対にしてはならないこと、それは、我が国の情報活動を鎖につなぐことである。情報活動が国防と情報収集にいては果たす役割は、無類の危険が絶えず存在する時代においては、不可欠なのである。P.400
要は、もっとCIAの権限を拡大して、予算を寄越せってことだろう。