明け方ごろの読書日記

ほぼ読んだ本の備忘録にしています。たまに映画や身辺雑記的ことも書いています。2014年2月から3月までの記事は、2009年頃から2014年3月までに読んだ本を時系列無視で一気にアップしたものです。

『西洋哲学史―古代から中世へ (岩波新書)』 熊野 純彦著

西洋哲学史―古代から中世へ (岩波新書)

西洋哲学史―古代から中世へ (岩波新書)

西洋哲学史―近代から現代へ (岩波新書)

西洋哲学史―近代から現代へ (岩波新書)

哲学史っていうと、大抵の本は古代ギリシャから始められる。西欧の哲学の出発点は古代ギリシャから始まるのだから、それは仕方が無いのだけど、正直タレスがどーとかこーとか書いてあるのは、読むたびに退屈に感じていた。
 この本も例に漏れず古代ギリシャの哲学者達から論じられているので、退屈そうだなぁって思っていたけど、読み進めるうちに、彼ら古代ギリシャの哲学者達がどのように考えていて、それがどのような哲学的価値を持ち後代の哲学者達にどのように影響を与えたのかが、非常に丁寧に書かれていたので面白かった。
 このスタイルは全編を貫かれていて、哲学者の考えがどのように他の哲学者に影響を与えていたのかを、丁寧に解説している。読んでいると、この哲学者の考え(問題設定やその問題に対する解答)って、こんな形であの哲学者に引き継がれていたんだという新鮮な発見もあって、哲学史の面白味のようなものを感じられるつくりになっている。

 中世スコラ哲学のあたりで、すこし挫けそうになった。だって、どうでもいいようなことに情熱を傾けているようにしか思えなかった・・・。ややこし過ぎるよ中世スコラ哲学。
 あと勉強不足のせいだけど、プラトンイデア論がどのように論破というか批判されたのかが書いてあって勉強になった。
 新書とは思えないほどの深い内容で、費用対効果の高い二冊だった。