『狼群作戦の黄昏 (新戦史シリーズ)』 ジェオフリイ ジョーン著
- 作者: ジェオフリイジョーンズ,土屋哲朗,光藤亘
- 出版社/メーカー: 朝日ソノラマ
- 発売日: 1990/01
- メディア: 文庫
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Uボートの教範には「相手よりも早く見つけて相手よりも早く攻撃しろ」とか書いてあったりして、F22ラプターの「first‐look‐first‐kill」かよって笑ってしまった。まぁ戦闘の普遍的な原理ではあるけど、潜水艦(というより当時は可水艦ぐらいの存在だけど・・・)と戦闘機の戦い方が酷似していたのが意外だった。
戦争序盤にはまさに猛威を振るったUボートの狼群戦術だけど、英米の対潜技術の発展とともに1943年後半にはUボートの「平均寿命」は80日になってしまったりと、追い込まれていくUボートの姿を読めて興味深いノンフィクションだった。
大体に置いて、通商破壊戦というのは、忍耐と努力との積み重ねが必要で、退屈さを耐え抜き地味なルーティンワークを忠実にこなさなくてはならない「裏方の戦い」だ。戦艦や空母艦隊などによる華々しい大艦隊決戦などは一切出てこない。でも、海軍戦略におけるシーレーンの重要性を考えると、艦隊決戦よりも重要な戦いだと思う。
しっかし、苦しい中でも(苦しい中だからこそ?)ここまで海上護衛戦に国家リソースを割ける英国って本当に「島国の戦争のやり方」を熟知しているなぁって思う。王立海軍の弟子を自認していた某帝國海軍とは大違いだ。故大井参謀が読んだら、きっと泣くだろうな・・・
ロイヤル・ネイヴィーってへたれなんじゃないの?
http://mimizun.com/log/2ch/army/989937795/
のスレを思い出しながら読んだ。
あと、私は「群狼戦術」の表記の方に親しんでいたので、書籍名で使われている「狼群戦術」には少し違和感を感じてしまう・・・。ドイツ語では「Wolfsrudeltaktik」なので「狼群戦術」の方が訳としては忠実なのでいいのか。