明け方ごろの読書日記

ほぼ読んだ本の備忘録にしています。たまに映画や身辺雑記的ことも書いています。2014年2月から3月までの記事は、2009年頃から2014年3月までに読んだ本を時系列無視で一気にアップしたものです。

『君主論 (岩波文庫)』 ニッコロ マキアヴェッリ著

君主論 (岩波文庫)

君主論 (岩波文庫)

中公版のが評判が良かったのだが、あえての岩波版にしてみた。これも高校生の時に新訳じゃない中公版で、一度読んでいたはずなのだけど、8割がた内容を忘れていた。
 当時はあまり感銘を受けなかったが、当時のマキャベリの置かれた政治状況や下敷きになっている世界史(古代ローマ帝国)を押さえた上で読んでみたら、マキャベリがそういった歴史をどのように解釈したのかが分かってきて面白かった。高校は理系だったから世界史はサラッと流して終わりだったけど、こういった古典を読むときにはある程度の世界史の知識は必須なんだなって今更ながら心から思った。
 解説にもあったけど、アリストテレスの『国家論』の影響が滲み出ている。マキャベリの『君主論』はそれまで宗教的なものを政治哲学から引き剥がしたという点で評価されるべきであるというのが一般的だけど、その『君主論』が『国家論』から影響をうけたのは、やっぱり政治哲学もルネッサンスの影響を受けたんだなと思って興味深い。
 あと、読んでいるとマキャベリの人間の観察力の高さが伺える。昔は人ってそういったものかな?って思ったが、社会に出て経験を積んでみてから読むと、高校生の時に読んだときとは、また違った印象を受ける本だった。名君になる必要は無く、名君を真似すればそれでよいというマキャベリの主張には深く同意。