明け方ごろの読書日記

ほぼ読んだ本の備忘録にしています。たまに映画や身辺雑記的ことも書いています。2014年2月から3月までの記事は、2009年頃から2014年3月までに読んだ本を時系列無視で一気にアップしたものです。

『江戸川乱歩短篇集 (岩波文庫) 』江戸川 乱歩著

江戸川乱歩短篇集 (岩波文庫)

江戸川乱歩短篇集 (岩波文庫)

意外にも岩波文庫から出ていたこの『江戸川乱歩短篇集』。江戸川乱歩の文庫といえば黒背表紙のものと思い込んでいたので探すのに苦労してしまった(笑)
 収録されている作品は「二銭銅貨」、「D坂の殺人事件」、「心理試験」、「白昼夢」、「屋根裏の散歩者」、「人間椅子」、「火星の運河」、「お勢登場」、「鏡地獄」、「木馬は廻る」、「押絵と旅する男」、「目羅博士の不思議な犯罪」の12篇。
 明智小五郎初登場の話があったり、有名な作品が多数収録されていて、とてもお買い得な本だと思う。
 読んでいると、「雑誌にどうしても書かないといけないので無理やり書いた」とかいう作品があったり、続編を書くつもりがそのままで終わってしまった作品が何作があったりと別の意味で面白い作品もあって興味深い。
 特に冴えない中年のトランペット吹きが不器量な若い女に恋心を抱く「木馬は廻る」は続編を読みたかった(笑)
 本格的な推理物はもちろん、「火星の運河」のように幻想的な作品も収録されていて本当にバラエティに富んでいて、江戸川乱歩の幅広い作風を推し量ることが出来る大変良い短編集だと思った。

 先日、『妄想捜査~桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活』を見ていると、「目羅博士の不思議な犯罪」と同じトリックを使われていて笑った。まぁ、似すぎているからワザとなんだろうな。