明け方ごろの読書日記

ほぼ読んだ本の備忘録にしています。たまに映画や身辺雑記的ことも書いています。2014年2月から3月までの記事は、2009年頃から2014年3月までに読んだ本を時系列無視で一気にアップしたものです。

『兵器ディーラー』 ハーマン モール著

兵器ディーラー

兵器ディーラー

イランゲート事件で逮捕された著者の自伝。
いやぁ、面白かった。ノンフィクションを読む楽しみっていうのは、現実に起こっている普段は窺い知ることの出来ないことを知ることが出来ることにあると思う。この本はそんな楽しみに答えてくれる面白い本だった。
 物を売る営業の仕事っていうのはどの分野でも大変だけど、著者が扱う商品は商品が商品なだけに綱渡りのような危険性が常に伴う。売り渡すブツの確保、大きな取引相手である中東の商取引のやり方や、ブツの輸送の問題や米製兵器のエンドユーザー証明書(輸出を許可していない第三国にわたるのを防止するため発効される証明書)をどうするか?などなど・・・。
こうした問題がどのように解決されて、兵器の取引というものがどのように進められていくのかが細かく書いてあって面白かった。

 アメリカが政治的な理由で売り渡せない相手国に自国の兵器を売りたい時に、イスラエルを通して売り渡すという内容のことが書いてあって、非常に衝撃を受けた。そういえば、映画『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』でパキスタン経由でムジャヒディンに兵器を渡したいアメリカ側に対して、パキスタン高官が「その兵器に一つでもダヴィデの星が付いていたら許さん」っていうようなことを言っていた理由が理解できた。そうかぁ、そんな理由があればアメリカはイスラエルを支持しなきゃならんよなぁ、色々と・・・すっきり納得できた。

本書の後半はアメリカ当局にハメられて投獄されて、獄中で苦労する話がメインになってくるんだけど正直とてもつまらなかった。もっと武器商人としての生活を描いて欲しかった。なので、この本は著者が投獄されるまで読めばいいと思う。

こぼれ話として、著者は原則として韓国製の武器を扱わないとあった。敵に向けて打ち込んだ榴弾砲が不発だったり自分の陣地に落ちてきたりするような不良品が多いのがその理由との事だったが、正直ビックリした。
あんな北と常時にらみ合っているような国の、しかも精密さを要求されそうに無い砲弾の質がそんなにも悪いものなのか?
そりゃあ、韓流イーグルとかイージス艦の噂話は知っているけど、にわかには信じがたい。軍事板の☆信じられないが、本当だとかにも載りそうな話だ。
あと、本筋には関係ないけど、同棲している彼女が実はオトリ捜査官で証拠を握られてあっさり捕まった人間の話とか、信じられないような話もあった(笑い)

映画『ロード・オブ・ウォー』を面白く感じた人なら間違いなくお勧めです(前半だけ)