明け方ごろの読書日記

ほぼ読んだ本の備忘録にしています。たまに映画や身辺雑記的ことも書いています。2014年2月から3月までの記事は、2009年頃から2014年3月までに読んだ本を時系列無視で一気にアップしたものです。

『虚栄の掟―ゲーム・デザイナー』佐藤大輔著

零細ゲーム会社を舞台に、独立しようとする社員を暴きだすように命じられた男の話。舞台こそゲーム会社ってなってるけど、組織の裏切り者を探すということで主人公はダブルスパイを炙り出す防諜員のように思えてきて面白い。まぁ、主人公はあまりカッコよくなさそうではあるけど(苦笑)
 いわゆる佐藤節というのも全編に渡って、濃厚にまぶしてあるので久々に佐藤大輔さんの小説を読めたって感じだ。色々と作者の実体験が透けて見えるような描写もあり、そういった描写がこれまでの作品では少なかっただけに新鮮に感じた。

 作中世界の時代はエヴァの1話が放映された直後ぐらいとあるから、1995年9月頃かな?。プレステ、サターンとか次世代機戦争が一番熱かった時代だな。ゲーム業界も色々景気のいい話が飛び交っていて、高校生だった自分は憧れていたもんだ。色々と激動の時代を迎えていた当時のゲーム業界の雰囲気がよく伝わってきて面白かった。っていうか、なんかすごく懐かしい気分になった、もう年なんだな。
 あの時代って不況とはいえ、そろそろなんとかなるだろうって雰囲気だったし、阪神大震災とかオウム事件とかがあっても「終わらない日常」とか言って、まだノンビリしたもんだった。
 
 しかし、これで御大の本は大体読破したな。新刊も今後数年は出ないだろうし、少し残念だ。