明け方ごろの読書日記

ほぼ読んだ本の備忘録にしています。たまに映画や身辺雑記的ことも書いています。2014年2月から3月までの記事は、2009年頃から2014年3月までに読んだ本を時系列無視で一気にアップしたものです。

『大学教授のように小説を読む方法』 トーマス・C. フォス著

小説を読む時に、作者の仕掛けをどのように拾い上げて読み解いていくかの実践的な方法を解説した本。
 作者がアメリカ人ということもあり、扱っている小説は英米のものが多いけど、おそらく日本の小説を読むときにも参考にできることも多いだろうと思う。筒井康隆さんの『文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸)』の様に文学理論を前面に押し出したものでは無く、もっと手軽にというか小説を深く読む際のテクニック、例えば、登場人物が空を飛んだり、作中で雨が降ったり、登場人物達が会食するのは表面的な描写を超えて作者は何を表そうとしているのかを、分かりやすく解説してくれる非常に面白い本だった。

 読んでいて思ったのが、英米圏の小説家にとって、キリスト教とギリシャ古典、シェイクスピアの影響って絶大なんだなって事だった。
 例えば作中で雨が降っていれば、それは洗礼を象徴している。登場人物が会食していれば、それは聖餐式だ・・・とか。確かに読んでいると納得できるし、キリスト教文化圏の小説を読むには実に重要な着眼点を得ることが出来ると思う。
 でも日本の小説を読むときにはこのまま適用するのは難しいかも。