明け方ごろの読書日記

ほぼ読んだ本の備忘録にしています。たまに映画や身辺雑記的ことも書いています。2014年2月から3月までの記事は、2009年頃から2014年3月までに読んだ本を時系列無視で一気にアップしたものです。

『鋼鉄のアナバシス 死神と呼ばれた少女』内田 弘樹著

鋼鉄のアナバシス 死神と呼ばれた少女 (AXIS LABEL)

鋼鉄のアナバシス 死神と呼ばれた少女 (AXIS LABEL)

一年ほど前に購入して積読になっていたので、なんとなく読み始めたら一気に読み終えてしまいました。
 あくしずレーベルの第一弾で、架空戦記を何作も執筆している内田弘樹さんの作品です。
 彼の書く架空戦記は読んでないんで、他の作品との比較はできないけど、この小説は非常に読みやすかったです。
なんていうかライトノベルの手法で架空戦記を書いていると感じた。
 
 主人公アキラと一緒に戦車に乗り込む戦車兵達に個性の違う女性三人を配置し、中隊長など直属の上官達も女性が配置されているハーレム状態で、鉄の規律のドイツ軍にしては緩い軍規。
 独ソ戦がドイツに有利なまま進み、ある程度戦況が落ち着いた中で、本格的な実戦に投入される前の練成段階の仲間達のやりとりもコミカライズされているところは、ライトノベルの特色がよく出ていると思った。
 史実の独ソ戦は本当に陰鬱な激戦だったので、重くなりがちな舞台を選びながらもライトな雰囲気が出ているのは、面白かったと思う。

 軽いだけかと思ったら、ドイツ軍を扱ったら避けることのできないユダヤ人の虐殺も描かれているんだけど、この問題をこういう風に出してくるのは正直疑問に思った。
 主人公達の敵役として特別行動隊が出てきて、悪役の印象をつける為に必要な描写なんだろうケド、こういうナーバスな事件を登場人物の味付け扱いで出してくるのはどうなのかなぁ?。
 作中ではパンターが史実より大幅に早く登場したりと、史実改編が行われているので佐藤大輔のレッドサンブラッククロスのように上手く処理してくれれば、もっとすんなりと楽しめたのと少し残念に感じた。

いい意味でも悪い意味でもライトノベルなので、リアルな戦場を舞台にしたライトノベルが読みたい人にお勧めです。