明け方ごろの読書日記

ほぼ読んだ本の備忘録にしています。たまに映画や身辺雑記的ことも書いています。2014年2月から3月までの記事は、2009年頃から2014年3月までに読んだ本を時系列無視で一気にアップしたものです。

『 カルタゴ興亡史−ある国家の一生 (中公文庫BIBLIO) 』松谷 健二著

カルタゴ興亡史−ある国家の一生 (中公文庫BIBLIO)

カルタゴ興亡史−ある国家の一生 (中公文庫BIBLIO)

『ヴァンダル興亡史』を読んでいると、439年ごろのカルタゴの人口は100万人近いとあって驚愕。あんな古代にそんな大人口の都市があったなんて・・・
 という訳で、同じ著者の『カルタゴ興亡史-ある国家の一生』を読了。前三世紀初頭で40万人近く(前五世紀のアテナイとほぼ同じらしい)、前149-146年ごろで20万人ぐらいらしい。こちらの方はまぁなんとか納得できる数字だ。

 カルタゴフェニキア人が作ったとあってビックリ。あの連中国とか作ってたんだ。本によるともともとパレスチナに住んでいたけど、前2500年ごろにイスラエル人に追い出されてレバノンに移住したらしい。イスラエル人ってば4500前も今と同じことしてるよ(汗)
 カルタゴ自体は前六6世紀頃に母都市チュロスから独立してローマに滅ぼされるまで繁栄を続けることになったらしい。

 塩野女史の『ローマ人の物語』を読むとなんかヤラレ役っぽくて、新興勢力のローマにフルボッコにされたっていう印象の強いカルタゴだけど、この本を読むと色々と感じることが多かった。例えば、ローマがイタリア半島の片隅でコチョコチョやっていた時代から交易で活躍したり、シチリアの権益を巡ってギリシャ勢と争うまでに至ったり、カルタゴ繁栄した理由がよく分かる。

 後半はハンニバルの死闘がメインになってた。カルタゴ視点から見たポエニ戦争が描かれていて興味深い。『ヴァンダル興亡史』とともに、『ローマ人の物語』とは違った視点からこの時代のこの地域を知るのに適した、いい好著だと思う。

軍オタにはお馴染みの松谷健二さん。どっちかっていうとパウル・カレルの翻訳の方がイメージが強かったので、どんな本を書く人なのかなぁって思いながら読んでみたら面白かった。
 塩野さんの本では苦しい時にローマと同盟を結んで戦った好漢って感じだったマシニッサだけど、松谷さんの本を読むと結構エゲツナイことをしていて引いた。ありゃないわー。ひくわー。
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